首こり・後頭部の頭痛がつらい方へ|首の奥の筋肉「頭半棘筋(とうはんきょくきん)」を確かめて、ゆるめて、支えるセルフケア

頭半棘筋と、筋肉を貫いて後頭部へ向かう大後頭神経の模式図(後ろから見た図)

こんにちは、GENRYUです(^^)

この記事の要点

  • 首の付け根のこりや、後頭部から始まる頭の重さ・痛みには、首の奥の筋肉「頭半棘筋」が関わっていることがあります。
  • 頭痛には、すぐに受診が必要なものもあります。まず「受診してほしい頭痛」でないかを確かめてください。
  • 首の動きを確かめ、首の奥をゆるめて、首を支える小さな筋肉を働かせ、もう一度確かめます。

すぐに医療機関を受診してほしい頭痛

  • 突然、殴られたような激しい頭痛(人生で一番の痛み)
  • 発熱がある、首が硬くて前に曲げられない
  • 手足のしびれやまひ、ろれつが回らない、物が二重に見える・見えにくい、意識がぼんやりする
  • 65歳を過ぎてから初めて起きた頭痛、今までと痛み方が変わった・どんどん強くなる
  • せき・くしゃみ・いきむと強くなる、横になる/起き上がると強さが大きく変わる
  • 頭や首を打ったあとから続く
  • がんの治療中・治療歴がある、免疫の病気がある、妊娠中・産後
  • 頭痛薬を月の半分以上飲んでいる

(頭痛の専門家がまとめた「注意すべき頭痛のサイン」をもとにしています[1])

「首の付け根がガチガチ」「夕方になると後頭部から頭が重くなる」「首を回すと突っ張る」。
こんな首の悩み、ありませんか?

マイベストプロとYouTubeで紹介した「頭半棘筋のほぐし方」を、ホームページ版として大きく書き直しました。どんな頭痛に向いているか、ほぐしたあとに何をするかまで、図と一緒にまとめています。

目次

その​頭痛、​首から?

頭痛にはいくつか種類があります。このブログのセルフケアが向いているのは、主に次の2つです。

  • 首や肩のこりと一緒に、頭が締めつけられるように重い・痛い(緊張型頭痛:きんちょうがたずつう)
  • 首の動きや姿勢で強くなり、首の付け根から後頭部・こめかみへ広がる(頸原性頭痛:けいげんせいずつう)

一方で、

  • ズキンズキンと脈打つ
  • 吐き気がある、光や音がつらい
  • 体を動かすと悪化する

といった頭痛は、片頭痛(へんずつう)のことがあります。片頭痛は医療機関での相談が向いている頭痛です。首のセルフケアだけで様子を見ずに、まずは医師に相談してください。

セルフケアが向いていることが多い頭痛(緊張型・頸原性)と、まず医療機関に相談してほしい頭痛のサイン

頭半棘筋ってどんな​筋肉?

頭半棘筋は、首の後ろの深いところにある、太くて縦長の筋肉です。
背中の上のほうと首の骨から始まり、後頭部(頭の骨の後ろ)に付いています。

働きは、頭を後ろへ反らす(顎を上げる)こと。
そして、前に倒れようとする頭を、後ろから支え続けることです。

頭半棘筋と、筋肉を貫いて後頭部へ向かう大後頭神経の模式図(後ろから見た図)

ここで大切なのが、頭半棘筋の中を通る神経です。
後頭部の皮膚の感覚を受け持つ大後頭神経(だいこうとうしんけい)は、首の奥から後頭部へ向かう途中で、頭半棘筋を貫いて通ります。

ご遺体20体(40本の神経)を調べた研究では、40本すべてで大後頭神経が頭半棘筋を貫いていました。神経が筋肉から出てくる場所は、後頭部の出っぱり(外後頭隆起:がいこうとうりゅうき)から約3cm下、真ん中から約1.5cm外側でした[2]。

頭半棘筋が張り続けると、この神経の通り道が窮屈になり、後頭部の痛みにつながるのでは、と考えられています。
ただし、これは解剖からの考え方で、「頭半棘筋の張り=頭痛の原因」と言い切れるものではありません。前後で確かめながら、あなたに関わっているかを見ていきましょう。

なぜ、​頭半棘筋が​張り続けるの?

スマホやパソコンをのぞき込むと、頭が前に出て、目線を上げるために顎が上がります。
この姿勢では、頭の重さを首の後ろの筋肉がずっと支え続けることになります。

頭半棘筋は、まさにその「支え役」。
長い時間、休みなく働き続けると、張りやだるさにつながりやすくなります。

脳と​神経から​見た​「首こり」

首の奥の筋肉には、頭の位置や傾きを脳に伝えるセンサーがたくさんあります。
首からの情報は、目の動きや体のバランスの情報と一緒に、脳の中でまとめられています。

首が固まって情報があいまいになると、脳は「頭の位置がよく分からない=少し危ない」と判断して、首の筋肉をさらに固めてしまうことがあります。

だからこそ、

  • 強くもまずに、やさしくゆるめる
  • 小さな動きで、首を支える筋肉を目覚めさせる
  • 目と首を一緒に動かして、脳に「頭の位置」をはっきり伝える

ことが大切です。
(当院が学んでいる、脳科学をもとにしたトレーニング法「Z-Health」の考え方です。)

研究で​分かっていること

首から来る頭痛(頸原性頭痛)のある200人を対象にした研究では、6週間の

  • 首の関節を動かす徒手療法
  • 首を支える筋肉の、負担の少ない運動(顎を引く運動など)
  • その両方

のどれかを行ったグループは、何もしなかったグループに比べて、12か月後も頭痛の回数と強さが少なくなっていました[3]。
両方を行っても、片方だけと比べてはっきりした差はありませんでした。

(この研究は、首から来る頭痛の診断基準に当てはまる方が対象です。すべての頭痛に同じことが言えるわけではありません。)

「ほぐす」だけでなく、首を支える小さな筋肉を働かせる運動が大切なことが分かります。

始める​前に:3つのことを​確かめる

  1. 首を回す:正面を向いたまま、ゆっくり右・左を向きます。どこまで回るか(肩のどのあたりまで見えるか)、突っ張る場所を覚えておきます
  2. 上を向く・下を向く:ゆっくり天井を見上げ、次に顎を引いて下を向きます。突っ張る場所、痛みの強さ(0〜10)を覚えておきます
  3. 押して痛む場所:後頭部の出っぱりから指2本分下、真ん中から指1本分外側(首の付け根のくぼみ)を、指の腹でやさしく押します。痛み(0〜10)や、頭に響く感じがあるかを覚えておきます

頭痛がある方は、今の頭の重さ・痛みも0〜10で残しておきましょう。

セルフケア:ゆるめる​ → 支える​ → 目と首を​一緒に

どれも痛気持ちいい程度までが基本です。手や腕にしびれが走る、めまいや吐き気が出る場合は、すぐに中止してください。
1つ行ったら、上の3つのどれかで確かめ直しましょう。

ゆるめる

1. 頭半棘筋を指でゆるめる(YouTubeの方法)

  1. いすに座り、両手の指先を、後頭部の付け根(押して痛かった場所)に当てます
  2. 頭を少し後ろに倒して、首の後ろの力を抜きます(指が入りやすくなります)
  3. 指先で、筋肉を上下に小さくゆらすように、やさしく押し動かします
  4. 場所を少しずつ下へずらしながら、1〜2分

    ※強く押しません。後頭部の付け根は神経が通る場所です。痛気持ちいいまでにします
頭半棘筋のほぐし方(GENRYUチャンネル)

2. 仰向けで、後頭部の付け根をあずける

  1. テニスボール2個を靴下に入れて結び、「ピーナッツ」の形にします(バスタオルを丸めたものでもOK)
  2. 仰向けに寝て、後頭部の付け根(首と頭の境目)に、ボール2個がちょうど左右に来るように置きます
  3. 頭の重さをあずけて、1〜2分。小さく「うなずく」ように頭を動かすと、当たる場所が変わります

    ※痛みやしびれが強い場合は、タオルに替えるか中止します

支える

3. 顎を引く運動(うなずき)

  1. 仰向けに寝て、膝を立てます。頭の下に薄いタオルを敷きます
  2. 後頭部をタオルにつけたまま、小さく「うん」とうなずくように顎を引きます
  3. 首の前の奥が軽く働くのを感じながら、10秒キープ
  4. 10回

    ※首の前の表面の筋肉(のどの横の太い筋肉)が浮き出るほど力を入れる必要はありません。「小さく、やさしく」がポイントです

    ※頭を持ち上げるのではなく、その場でうなずく動きです

4. 首の後ろを、顎を引いてのばす

  1. いすに座り、背すじを伸ばします
  2. 3の要領で軽く顎を引いてから、ゆっくり頭を前に倒します
  3. 両手を後頭部に軽く添え、腕の重さだけで首の後ろの上のほうを伸ばします
  4. 20〜30秒、2〜3回

    ※腕で強く引っぱりません

目と首を​一緒に

5. 目で先に見て、首であとを追う

  1. いすに座り、正面を見ます
  2. 頭は動かさずに、目だけで右を見ます
  3. 目線を右に置いたまま、首をゆっくり右へ回して、目線に頭を追いつかせます
  4. 正面に戻り、左も同じように。左右5回ずつ

    ※回せる範囲は、痛みのない範囲で十分です。めまいが出る場合は中止します

    ※目と首の動きを一緒に練習すると、脳に「頭の位置」がはっきり伝わり、首を回しやすくなる方が多いです

終わったら、​もう​一度確かめる

最初と同じ3つ(首を回す、上下を向く、押して痛む場所)と、頭の重さ・痛みを確かめてみてください。

結果は「楽になった」「同じ」「悪くなった」「分からない」のどれかで残しておきましょう。

  • ゆるめたあとに楽になる → 首の奥の筋肉の張りが関わっていそう。「支える」をセットに
  • 支える・目と首の運動のあとに楽になる → 首を支える力や、動かし方が関わっていそう
  • どちらも変わらない/頭痛の様子がいつもと違う → ほかの原因の可能性。医療機関や当院にご相談ください
確かめる、ゆるめる・支える・目と首、確かめ直すの流れと、結果からの見当のつけ方

どのくらい​続ければいい?

まずは1日1回、前後の確認で変化が大きかったものを中心に、2〜4週間続けてみてください。
研究では、6週間の運動で12か月後まで変化が続いていました[3]。
「ゆるめる」は短く、「支える」(3の顎を引く運動)を毎日続けるのがコツです。
デスクワークの方は、1時間に1回、5の「目と首」を数回行うのもおすすめです。

よくある​質問

Q.首をボキボキ鳴らすとスッキリしますが、いいですか?
ご自分で勢いよく首をひねって鳴らすのは、おすすめしません。スッキリ感は一時的なことが多く、首の関節や周りの組織に負担がかかることがあります。当院でも、強い勢いで関節をボキッと動かす手技は行っていません。

Q.頭痛薬を飲みながら行ってもいいですか?
はい、セルフケアと薬は一緒に行えます。ただし、頭痛薬を月の半分以上飲んでいる方は、薬の飲みすぎで頭痛が続いていることがあります。医師や薬剤師にご相談ください。

Q.片頭痛と言われています。やってもいいですか?
片頭痛の発作中は、首を動かしたりもんだりすると悪化することがあります。発作中は安静にし、発作のないときに、首の確かめとやさしいセルフケアを行ってください。主治医の先生がいる方は、その方針を優先してください。

まとめ

  • 首こり・後頭部の頭痛には、首の奥の筋肉「頭半棘筋」が関わっていることがある
  • 頭半棘筋の中を、後頭部の感覚を受け持つ大後頭神経が通っている
  • 受診が必要な頭痛のサインを、まず確かめる
  • ゆるめる → 支える → 目と首を一緒に。前後で確かめる

当院では、首の動き、押して痛む場所、肩甲骨や背中、目の動きとの関係まで一緒に確かめ、どこが関わっているかの見当をつけてから施術します(検査 → 施術 → 再検査)。
→ 首の痛みについて詳しくはこちら
→ GENRYUメソッドについて
→ ご予約はLINE・お電話(080-7982-0022)で

それではまた、次回のブログでお会いしましょう(*^^*)

参考文献

  1. Do TP, Remmers A, Schytz HW, Schankin CJ, Nelson SE, Obermann M, Hansen JM, Sinclair AJ, Gantenbein AR, Schoonman GG. Red and orange flags for secondary headaches in clinical practice: SNNOOP10 list. Neurology. 2019;92(3):134-144. doi:10.1212/WNL.0000000000006697. PMID: 30587518
  2. Mosser SW, Guyuron B, Janis JE, Rohrich RJ. The anatomy of the greater occipital nerve: implications for the etiology of migraine headaches. Plast Reconstr Surg. 2004;113(2):693-697. doi:10.1097/01.PRS.0000101502.22727.5D. PMID: 14758238
  3. Jull G, Trott P, Potter H, Zito G, Niere K, Shirley D, Emberson J, Marschner I, Richardson C. A randomized controlled trial of exercise and manipulative therapy for cervicogenic headache. Spine. 2002;27(17):1835-1843. doi:10.1097/00007632-200209010-00004. PMID: 12221344
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この記事を書いた人

理学療法士。病院・整形外科クリニックで9年間リハビリに携わったのち、2016年に大分市金池町で「綜合整体 GENRYU」を開業。脳科学を基にしたトレーニング法「Z-Health」で痛みの神経科学・運動学習を学び、研究にもとづく検査と施術、セルフケアの指導を行っている。

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