立ち上がりや前かがみで腰が痛む方へ|脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)をゆるめて、動かして、確かめ直すセルフケア

脊柱起立筋(棘筋・最長筋・腸肋筋)の位置と、骨盤のすぐ上のほぐす場所の模式図

こんにちは、GENRYUです(^^)

この記事の要点

  • 立ち上がり・腰を反らす・歩き始めの腰の痛みには、背骨の両側の筋肉「脊柱起立筋」の張りが関わっていることがあります。
  • 筋肉はほぐすだけだと、数日で張りが戻りやすい。ほぐしたあとに、腰と股関節を「動かす」ところまでがセットです。
  • 前かがみ・反らす・立ち上がりの3つを先に確かめ、セルフケアのあとにもう一度確かめます。

先に医療機関を受診してほしいとき

  • 脚のしびれが強くなる・広がる、脚に力が入りにくい
  • おしっこやお通じが出にくい・もれる、お尻のまわりの感覚が鈍い
  • 転んだ・尻もちをついたあとから痛む(特に骨が弱いと言われている方)
  • 発熱がある、じっとしていても夜中に強く痛む、理由なく体重が減っている
  • がんの治療を受けたことがある

「立ち上がるとき、腰が伸びきらない」「腰を反らすとズキッとする」「歩き始めが一番つらい」。
こんな腰の悩み、ありませんか?

マイベストプロで一番多く読まれている「脊柱起立筋リリース」の記事を、ホームページ版として大きく書き直しました。ほぐす場所に加えて、「なぜ戻るのか」「ほぐしたあとに何をするか」まで、図と一緒にまとめています。

目次

脊柱起立筋ってどんな​筋肉?

脊柱起立筋は、背骨の両側を、骨盤から首の付け根まで縦に走る大きな筋肉のまとまりです。
外側から順に、腸肋筋(ちょうろくきん)・最長筋(さいちょうきん)・棘筋(きょくきん)の3つが並んでいます。その奥には、背骨の一つ一つをつなぐ小さな筋肉(多裂筋:たれつきん など)があります。

脊柱起立筋(棘筋・最長筋・腸肋筋)の位置と、骨盤のすぐ上のほぐす場所の模式図

働きは、名前のとおり「背骨を起こす」こと。

  • 前かがみから体を起こす
  • 前に倒れないように、体を後ろから支える
  • 腰を反らす

立ち上がりや前かがみから戻る動きで、いちばん働く筋肉の一つです。

張りやすいのは、腰の下のほう(骨盤のすぐ上、背骨の両わき)です。ここは筋肉が厚く、骨盤とつながる丈夫な膜(胸腰筋膜:きょうようきんまく)とも重なっています。

「張っている」は、​原因ではなく​「守っている」​サインのことも

腰の筋肉を押すと硬い。だから、この筋肉が痛みの原因。
……と考えたくなりますよね。

ただ、筋肉の張りは、体が腰を守ろうとしている反応であることも多いのです。

健康な人が立ったまま深く前かがみになると、最後のところで脊柱起立筋の電気的な活動がふっと静かになることが知られています(屈曲弛緩現象:くっきょくしかんげんしょう)。体を骨や膜にあずけて、筋肉が休むのです。
ところが、慢性的な腰痛のある方では、この「休む」反応が起こりにくくなっていると報告されています[1]。

前かがみの最後で腰の筋肉が休む人と、働き続ける人(屈曲弛緩現象)の模式図

脳が「腰は危ない」と判断していると、筋肉は休まず働き続け、腰をガードします。
これは体を守るための大切な反応ですが、長く続くと、筋肉そのものの張りやだるさ、動きにくさにつながります。

そして、腰の関節(背骨と背骨のあいだの小さな関節)の動きが悪いと、その周りの筋肉はさらに張りやすくなります。
筋肉をほぐしても数日で戻る方は、筋肉だけでなく、関節の動きや、脳の「守り」が関わっていることが多いのです。

ほぐすだけで、​なぜ戻る?

マッサージの研究をまとめたコクランレビューでは、腰痛に対するマッサージは、何もしない場合と比べて短期的には痛みや動作が楽になる傾向がありました。ただし、長期の効果ははっきりせず、研究の質も低いと評価されています[2]。

また、アメリカ内科学会のガイドラインでは、

  • 急な腰痛(発症から数週間)には、温める・マッサージなどの方法
  • 長引く腰痛(3か月以上)には、運動、ヨガ、太極拳、体の動かし方を練習する運動(モーターコントロール運動)など

から始めることがすすめられています[3]。

つまり、ほぐすことは「入口」。
ほぐして少し楽になったタイミングで、動かして、脳に「この動きは大丈夫」と覚え直してもらうことが大切です。
これが、当院が大切にしている「検査 → 施術 → 再検査」の考え方です。

始める​前に:3つの​動きを​確かめる

  1. 前かがみ:立ったまま、膝を伸ばしてゆっくり前にかがみます。指先がどこまで届くか(太もも・膝・すね・床)と、痛みを0〜10で覚えておきます
  2. 腰を反らす:両手を腰に当てて、ゆっくり後ろへ反らします。痛みが出る場所と、痛みの強さを覚えておきます
  3. 立ち上がり:いすから立ち上がり、腰が伸びきるまでの痛みを0〜10で覚えておきます

セルフケア:ほぐす → 動かす

どれも痛気持ちいい程度までが基本です。脚にしびれが走る・強くなる場合は、すぐに中止してください。
1つ行ったら、上の3つのどれかで確かめ直しましょう。

ほぐす

1. 指で、ゆっくり圧をかけてずらす(マイベストプロ版の方法)

  1. 立つか、いすに浅く座ります
  2. 両手を腰に当て、親指を背骨の両わき、骨盤のすぐ上の盛り上がった筋肉に当てます
  3. 親指でゆっくり押し込み、そのまま横方向(外へ)に皮膚ごとずらします。次に縦方向(上下)にずらします
  4. 1か所10〜20秒、場所を少しずつ変えながら1〜2分

    ※背骨の出っぱり(骨)は押しません

    ※指が入りにくい方は、2のボールを使う方法がおすすめです

2. ボールにあずけてゆるめる

  1. 仰向けで膝を立てます
  2. テニスボール(硬すぎる場合は柔らかいボール)を、背骨のわき、骨盤のすぐ上に置きます
  3. ゆっくり体重をあずけ、30〜60秒。呼吸は止めずに、吐く息で力を抜きます
  4. 余裕があれば、膝を左右に小さく倒して、ボールの当たる場所を少しずらします

    ※骨に当たる・鋭く痛む場合は、場所を少しずらすか中止します

動かす

3. 骨盤のゆらし(腰の関節を小さく動かす)

  1. 仰向けで膝を立てます
  2. おへそをのぞき込むように、腰を床に近づけます(骨盤を後ろに傾ける)
  3. 次に、腰と床のあいだに手のひら1枚分のすき間ができるように、軽く反らします(骨盤を前に傾ける)
  4. 痛みのない範囲で、小さくゆっくり10往復

4. 四つ這いで、背骨を一つずつ動かす(キャット&カウ)

  1. 四つ這いになり、手は肩の真下、膝は股関節の真下に置きます
  2. 息を吐きながら、尾骨から順番に背中を丸めます
  3. 息を吸いながら、尾骨から順番に背中を反らします
  4. 「背骨を一つずつ動かす」イメージで、ゆっくり5〜10回

    ※腰を反らすと痛む方は、丸める動きだけ、または反らす範囲を小さくします

5. 股関節から曲げる練習(ヒップヒンジ)

  1. 足を腰幅に開いて立ち、両手を太ももの付け根に当てます
  2. 背すじを伸ばしたまま、手を挟み込むように股関節からお尻を後ろへ引き、上体を前に倒します(膝は軽く曲げてOK)
  3. 太ももの裏が軽く伸びるところまで倒したら、お尻を前に押し出すように戻ります
  4. 5〜10回

    ※腰を丸めて曲げるのではなく、「股関節の折りたたみ」で曲げるのがポイントです。前かがみや立ち上がりで、腰の筋肉にかかる負担を分け合えるようになります

6. 呼吸で、ガードをゆるめる

  1. 仰向けで膝を立て、両手をわき腹から腰に当てます
  2. 鼻からゆっくり息を吸い、手を当てたわき腹と腰が横と後ろにふくらむのを感じます
  3. 口から長く吐きながら、腰の力が抜けていくのを感じます
  4. 5呼吸

    ※呼吸がゆっくりになると、脳が「今は安全」と判断しやすくなります。ほぐす・動かすの前後に入れるのもおすすめです

終わったら、​もう​一度確かめる

最初と同じ3つ(前かがみ、腰を反らす、立ち上がり)を確かめてみてください。

結果は「楽になった」「同じ」「悪くなった」「分からない」のどれかで残しておきましょう。

  • ほぐしたあとに楽になる → 筋肉の張りが関わっていそう。続けて「動かす」をセットに
  • 動かしたあとに楽になる → 関節の動きや、体の使い方が関わっていそう
  • どちらも変わらない → 股関節・背中・神経など、ほかの場所が関わっている可能性
確かめる、ほぐす・動かす、確かめ直すの流れと、結果からの見当のつけ方

どのくらい​続ければいい?

まずは1日1回、前後の確認で変化が大きかったものを中心に、1〜2週間続けてみてください。
ほぐすのは短く(1〜2分)、動かすほうを毎日続けるのがコツです。
変化がない、または悪くなる場合は、無理に続けずご相談ください。

よくある​質問

Q.強く押したほうが効きますか?
いいえ。強く押すと、脳が「危ない」と判断して、かえって筋肉が固まることがあります。痛気持ちいい程度で十分です。

Q.温めたほうがいい?冷やしたほうがいい?
急な腰痛では、温めることがすすめられています[3]。お風呂上がりなど、体が温まっているときにセルフケアを行うのもおすすめです。強い炎症(熱をもって腫れている、じっとしていてもズキズキする)が疑われる場合は、医療機関にご相談ください。

Q.ほぐしても、数日で戻ってしまいます。
筋肉の張りが「守り」の反応だとすると、ほぐすだけでは戻りやすいのは自然なことです。3〜5の「動かす」を続けてみてください。それでも戻る場合は、股関節や背中、腰の関節の動きを一緒に確かめていきましょう。

まとめ

  • 脊柱起立筋は、背骨の両わきを縦に走る「体を起こす」筋肉。腰の下のほうが張りやすい
  • 筋肉の張りは、脳が腰を守ろうとしている反応のことも
  • ほぐすのは「入口」。動かして「この動きは大丈夫」を体と脳に覚え直してもらう
  • 前かがみ・反らす・立ち上がりを、前後で確かめる

当院では、前かがみや反らす動きを一緒に確かめ、筋肉・関節・股関節・神経のどこが関わっているかの見当をつけてから施術します(検査 → 施術 → 再検査)。
→ 腰の痛みについて詳しくはこちら
→ GENRYUメソッドについて
→ ご予約はLINE・お電話(080-7982-0022)で

それではまた、次回のブログでお会いしましょう(*^^*)

参考文献

  1. Gouteron A, Tabard-Fougère A, Bourredjem A, Casillas JM, Armand S, Genevay S. The flexion relaxation phenomenon in nonspecific chronic low back pain: prevalence, reproducibility and flexion-extension ratios. A systematic review and meta-analysis. Eur Spine J. 2022;31(1):136-151. doi:10.1007/s00586-021-06992-0. PMID: 34553264
  2. Furlan AD, Giraldo M, Baskwill A, Irvin E, Imamura M. Massage for low-back pain. Cochrane Database Syst Rev. 2015;(9):CD001929. doi:10.1002/14651858.CD001929.pub3. PMID: 26329399
  3. Qaseem A, Wilt TJ, McLean RM, Forciea MA. Noninvasive treatments for acute, subacute, and chronic low back pain: a clinical practice guideline from the American College of Physicians. Ann Intern Med. 2017;166(7):514-530. doi:10.7326/M16-2367. PMID: 28192789
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この記事を書いた人

理学療法士。病院・整形外科クリニックで9年間リハビリに携わったのち、2016年に大分市金池町で「綜合整体 GENRYU」を開業。脳科学を基にしたトレーニング法「Z-Health」で痛みの神経科学・運動学習を学び、研究にもとづく検査と施術、セルフケアの指導を行っている。

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